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個人事業主として独立したばかりの方や、これから開業を目指している方にとって、Webサイトの制作は信頼獲得や集客のために欠かせないステップです。しかし、制作には数十万円の費用がかかることもあり、資金に余裕がない状況では後回しにされがちです。そんなときに検討すべきなのが、国や自治体の補助金・助成金制度の活用です。
本記事では、Webサイト制作に使える主要な助成制度の概要から、申請の流れ、対象となる費用、成功事例までを詳しく紹介し、費用を抑えて自社のWeb戦略をスタートさせるための実践的な方法を解説します。補助金・助成金を味方に、効果的なWebサイト制作を実現していきましょう。
個人事業主がWebサイト制作に補助金・助成金を活用する理由

開業間もない個人事業主にとって、事業運営に必要な設備や広報ツールへの投資は慎重に検討しなければならない重要課題です。特にWeb制作は、効果的な営業ツールとして非常に有用である一方、初期コストが高額になりやすいため、躊躇されがちな部分です。ここでは、補助金・助成金を活用することで得られるメリットと、Webサイトがビジネスに果たす役割を確認します。
開業初期の費用負担を軽減できるメリット
事業を始めたばかりの段階では、什器備品や広告費、各種登録費用など出費が重なります。そんな中、Webサイト制作に数十万円を投資するのは現実的に難しいと感じる方も多いはずです。
しかし、補助金・助成金を活用すれば、
- 初期投資の一部または大部分を補填できる
- 最終的な自己負担額を軽減できる
- 早期に販促活動を開始できる
といった利点があります。特に補助率が2/3や3/4の制度を活用すれば、実質負担を数万円程度に抑えつつ、本格的なWebサイトを持つことが可能になります。
自社Webサイトの重要性とビジネスへの効果
Webサイトは、単なる名刺代わりの存在ではなく、信頼獲得・情報提供・顧客との接点構築など、多くの役割を果たします。特に以下のような効果が期待できます。
- 検索経由での新規顧客獲得
- 問い合わせや予約などのコンバージョン促進
- SNSや広告と連携した広報チャネルの確立
また、営業先や取引先に対して「事業の信頼性」を示すツールとしても機能します。補助金・助成金を活用して早い段階で質の高いWebサイトを制作しておけば、今後のビジネス展開にも大きな追い風となります。
Webサイト制作に使える主な補助金・助成金の種類
個人事業主がWebサイト制作に使える補助金・助成金は、国や自治体などさまざまな機関から提供されています。それぞれ対象や条件が異なるため、自分の事業内容や地域性に応じて適切な制度を選ぶことが重要です。ここでは代表的な2つの補助金・助成金を紹介し、それぞれの特徴と活用ポイントを解説します。
小規模事業者持続化補助金の特徴と対象経費
「小規模事業者持続化補助金」は、販路開拓や業務効率化のための取り組みを支援する制度で、Webサイト制作は販路開拓の一環として明確に補助対象に含まれます。
主な特徴は以下の通りです。
- 補助率:2/3
- 補助上限額:50万円(特例の要件に該当する場合は最大250万円)
※ウェブサイト関連費の上限は、補助金申請額全体の1/4までです。
例:補助金50万円を満額申請する場合、ウェブサイト関連費として計上できるのは最大12.5万円まで。 - 対象経費:Web制作費、広告費、外注費、機器費など
- 注意:ウェブサイト関連費のみでの申請は不可、必ず他の販路開拓の取り組み(チラシ作成や広告掲載など)と組み合わせて申請する必要があります。
この補助金は、地域の商工会・商工会議所と連携しながら対応していく必要がありますが、サポートを受けながら進められる点がメリットです。
自治体独自の支援制度をチェックする
国の制度だけでなく、都道府県や市区町村が独自に提供する補助金・助成金制度も見逃せません。地域経済の活性化を目的としたこれらの制度では、Web制作費を対象としているケースも多く見られます。
例としては、
- 地元中小企業向けの広報支援助成金
- 開業支援金に含まれるWeb制作費
- IT活用支援事業補助金(都道府県単位)
申請には住民票の所在や開業届の写しなどが必要な場合があるため、お住まいの地域の自治体サイトや商工会議所に最新情報を確認することをおすすめします。
補助金・助成金を受給するために必要な申請準備と手順
補助金・助成金を活用するには、制度ごとに定められた申請手続きに従い、必要書類を揃えることが不可欠です。申請にあたっては、計画性と現実性のある事業内容が求められ、準備の段階で結果が大きく左右されます。ここでは、申請までの流れや必要書類、成功のためのポイントを解説します。
採択率を高めるための事業計画書のポイント
補助金・助成金申請で最も重要とされるのが、「事業計画書」や「補助事業計画書」です。内容が不十分だと、いくら良い事業でも不採択になることがあります。
計画書で押さえるべき要点は以下の通りです。
- 自社の現状と課題を明確に説明する
- Webサイト制作が課題解決にどう貢献するかを具体的に示す
- 成果目標(KPI)を数値で記載する
- スケジュールや実施体制に無理がないこと
特に個人事業主の場合、「なぜ今Webサイト制作が必要なのか」という点を論理的かつ簡潔に示すことが採択のカギです。
申請から交付決定までの流れとスケジュール
補助金・助成金の申請から交付決定までは、一般的に以下のようなステップを踏みます。
- 公募要領を確認する
- 制作内容や見積を制作会社と相談する
- 事業計画書・申請書を作成する
- 商工会議所などの支援機関と連携する(制度による)
- オンラインまたは郵送で申請を行う
- 審査結果を待つ(1〜2か月程度)
- 交付決定後、Web制作を開始する
- 実績報告書を提出する
- 精算後、補助金・助成金が振り込まれる
このように、申請から入金までは数か月かかるため、計画的なスケジューリングが重要です。
見積書や制作内容の明確化が成功のカギ
見積書や制作内容の不備も、不採択や補助額減額の原因になります。制作会社と相談の上で、以下の点を明確にしましょう。
- 作業項目ごとの費用内訳
- 制作物の仕様(ページ数、機能など)
- 補助対象経費と対象外経費の区別
また、補助金・助成金申請の旨を伝え、要件に沿った形式で見積もりを作成してもらうことが重要です。制作会社によっては、補助金・助成金申請に慣れているところもあるので、事前に確認しておくと安心です。
補助金・助成金の対象となるWebサイト制作費と対象外の経費に注意
補助金・助成金を活用する際は、すべての制作費用が補助対象になるわけではないことに注意が必要です。制度によって対象範囲が異なり、対象外となる費用を含めて申請してしまうと、減額や不採択のリスクが高まります。ここでは、補助対象となる費用と対象外の費用を明確にし、正しく申請するためのポイントを解説します。
デザイン費やシステム構築費は対象になるか
Webサイト制作において、次のような項目は多くの制度で補助対象と認められています。
- トップページや下層ページのデザイン制作費
- HTML/CSSなどのコーディング作業
- CMS導入やフォーム設置などのシステム構築費
- スマートフォン対応のレスポンシブ設計
特に「小規模事業者持続化補助金」では、営業目的で活用されるWebサイトの制作費が対象とされています。ただし、芸術的なポートフォリオや趣味目的のサイトなどは対象外になる場合があるため、ビジネス目的であることを明確に記載しましょう。
ドメイン取得や保守管理の取り扱いについて
Webサイトの運用に必要なドメインやサーバー、保守管理に関しては、補助対象になる場合とならない場合があります。以下の通り、制度によって対応が異なるため注意が必要です。
- ドメイン取得・初年度サーバー代:対象になるケースが多い
- 月額契約の維持費や2年目以降の更新費:対象外
- 保守契約(更新や軽微な修正を含む):一括契約であれば初年度分が対象になることもある
また、ドメインやサーバー契約については、「いつ契約したか」「誰名義で契約したか」も審査上重要です。事業者名義での契約が必要であり、補助事業開始前に契約を済ませてしまうと対象外になる場合があるため、交付決定を待ってから契約するのが原則です。
補助金・助成金を活用して制作したWebサイトの成功事例

補助金・助成金を活用してWebサイトを制作し、実際に成果を上げた個人事業主の事例は、これから申請を検討する方にとって非常に参考になります。ここでは、集客や売上増加につながった具体的な取り組みを2つの事例として紹介し、成功のポイントを明らかにします。
フリーランスが集客につなげたサイト事例
Webデザイナーとして独立したばかりの個人事業主Aさんは、小規模事業者持続化補助金を活用し、自分のポートフォリオサイトを構築しました。補助金を利用して以下のような取り組みを実施。
- 過去の制作事例を掲載したギャラリー機能
- お問い合わせフォームの導入
- SEO対策を施したブログページの設置
サイト公開後、検索経由での問い合わせが月5件を超えるようになり、安定した受注が得られるようになりました。計画書では、「集客チャネルの確立」と「独立後の営業基盤構築」を明確に記述していたことが高く評価され、採択に至りました。
リニューアルで受注増を実現した事業者の実例
ハンドメイドアクセサリーを販売している個人事業主Bさんは、既存の無料ブログベースのサイトから、プロ仕様のEC機能付きWebサイトにリニューアルしました。利用したのは自治体が運用する助成金制度で、実施した内容は以下の通りです。
- WordPressベースのECサイト構築
- 商品撮影をプロに外注
- 決済機能と顧客管理機能を導入
その結果、サイトリニューアルから3か月で売上が約1.7倍に増加。以前よりも操作性が向上し、リピーターの再訪率も改善しました。事業計画書では、「オンライン販売への本格参入」と「業務効率化による生産性向上」がポイントとして記載されており、これが審査の評価につながりました。
補助金・助成金活用で後悔しないために押さえるべき注意点
補助金・助成金は非常に心強い制度ですが、正しい知識と準備がなければ、思わぬトラブルや後悔につながることもあります。申請前後の対応や制作会社との連携体制など、事前に知っておくべき重要な注意点を押さえておきましょう。
補助金・助成金申請後の義務や報告に注意する
補助金・助成金を受け取ると、単に「使ったら終わり」ではなく、実施後に実績報告や経費精算の義務があります。以下の点に注意が必要です。
- 制作が完了したことを証明する納品物の提出
- 支出内容を証明する領収書や請求書の提出
- 交付決定書に基づいた進行管理(途中変更は原則不可)
これらを怠ると、補助金・助成金の一部または全額返還を求められることもあるため、しっかりとした管理体制とスケジュール管理が重要です。
制作会社との連携体制を整えておく
Web制作は、補助金・助成金ありきで制作会社に丸投げするのではなく、事業者と制作者の綿密な連携が成果に直結します。連携体制で重要なポイントは以下の通りです。
- 補助金・助成金の対象項目に沿った見積もりの作成
- 制作スケジュールが申請期間に適合しているか
- 補助金・助成金実績報告に必要な納品証明書類の準備
また、補助金・助成金制度に詳しい制作会社を選ぶことも成功率を高めるポイントです。特に「小規模事業者持続化補助金」に実績のある業者なら、申請時のサポートも期待できます。
助成金を活用したSEO対策・広告運用についてご相談ください
サイト制作後にWEBマーケティングを推進する上で、最も必要なことは正しい知識を持つことです。外部サービスを利用することも1つの手ですが、IT・DXの推進が加速するこれからの時代、現場で実務を担う人材の育成が不可欠でしょう。
NBCインターナショナルでは、SEO対策やWEB広告運用に関する研修プログラムを用意しています。現役のコンサルタントが講師を務め、eラーニングやZoom研修により、最新の知識と実践力がバランスよく習得できる構成です。
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まとめ
補助金・助成金を利用したWebサイト制作という視点から、個人事業主が費用を抑えながら高品質なWebサイトを制作するための方法を紹介しました。小規模事業者持続化補助金、地域の助成制度などを活用すれば、開業初期の資金負担を軽減しながら、ビジネスの信頼性や集客力を高めるWebサイトを持つことができます。
最も重要なのは、補助金・助成金の特性を理解し、正確かつ現実的な事業計画を立てることです。また、信頼できる制作会社との連携や、申請後の義務をしっかりと把握することで、安心して補助金・助成金を活用することができるでしょう。
※弊社が補助金や助成金の受給を保証するものではありません
※最新情報は各機関のHP等でご確認ください
