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自社のWebサイトにどれだけの人が訪れているのか、また競合サイトと比較して自分たちの立ち位置はどうなのか。こうした疑問を抱えるWeb担当者や中小企業のマーケティング担当者は少なくありません。アクセス解析の出発点ともいえる「ページビュー(PV)」の把握は、ユーザーの動向を読み解くための第一歩です。
この記事では、PVと関連指標の違いから、Googleアナリティクス(GA)を用いた実際の調べ方、競合分析に活用できる外部ツールまで、初心者でも理解しやすいよう体系的に解説します。正しくPVを調べることで、より精度の高いサイト改善やマーケティング施策につなげることができます。
PV数を調べる前に理解しておくべき基礎知識
PVを正しく活用するには、まずその意味や関連する指標との違いを理解することが不可欠です。アクセス解析で得られるデータを的確に読み解くためには、「PV」「セッション」「ユーザー」などの用語を混同せずに把握する必要があります。ここでは、PVを調べる前に知っておきたい基本知識と、それがサイト運営にもたらすメリットを整理します。
PVとセッションの違いを正しく把握する
PVは、Webページが表示された回数を表す指標です。1人のユーザーが同じページを何度開いても、その都度カウントされます。一方、セッションは、ユーザーがWebサイトに訪れてから離脱するまでの一連の行動を1単位としてカウントするものです。
【PVとセッションの違い】
| 指標名 | 定義 | 例 |
| PV | ページが読み込まれた総数 | 1人の訪問者が同じページを3回見た → PVは3 |
| セッション | ユーザーがWebサイトに訪問してから離れるまでの一連の行動 | 1人の訪問者が複数ページを見ても、セッションは1回 |
つまり、PVは「どれだけページが見られたか」を示すのに対し、セッションは「何回訪問されたか」を測る指標であり、ユーザーの関心や回遊状況を知る手がかりとなります。
アクセス数を把握することがサイト運営に与えるメリット
PVなどのアクセス数を定期的に確認することは、自社サイトの状態やユーザーの動きに気づくための“気づきの装置”となります。以下のようなメリットがあります。
【アクセス数を把握するメリット】
- コンテンツごとの人気度を把握できる
どの記事がよく読まれているかを分析し、今後のコンテンツ戦略に活かせます。 - 更新や施策の効果を測定できる
SEO対策や広告出稿の結果がPVに反映されるため、施策の良し悪しが見えてきます。 - 課題発見につながる
PVが多いのにコンバージョンが少ない場合は、導線や内容に問題がある可能性があります。
このように、PVやアクセス指標の定点観測は、Webサイトを成果につなげるための基盤となります。
Googleアナリティクス4を使って自社サイトのPVを調べる手順
PVを正確に把握するには、Googleが提供する無料アクセス解析ツール「Googleアナリティクス4(GA4)」の活用が欠かせません。現在のGA4は、以前のバージョン(ユニバーサルアナリティクス、2024年7月サービス終了)から計測の仕組みが大きく変わっているため、正しい見方を理解することが重要です。
ここでは、GA4を使ったPV確認の実践手順を初心者向けに解説します。
Googleアナリティクスアカウントの作成方法と設定の流れ
GA4を使うには、まずGoogleアナリティクスのアカウントとプロパティ(計測対象のWebサイト)を設定する必要があります。
【初期設定の手順】
- Googleアカウントを作成(もしくはログイン)
Googleアナリティクスの利用には、Googleアカウントが必須です。 - Googleアナリティクスにアクセス
https://analytics.google.com にアクセスし、「測定を開始」をクリック。 - アカウント名とプロパティ名の入力
自社名やドメイン名など分かりやすい名称にします。 - タイムゾーン・通貨・業種を設定
日本時間・円建てに設定しておくと後の分析がスムーズです。 - ウェブストリームを追加し、計測タグを取得
自社サイトのURLを入力し、生成された「Googleタグ」をWebサイトに設置します。 - Googleタグマネージャーを活用すればタグ管理も一元化可能
HTMLに直接貼り付ける方法でも計測可能ですが、管理の効率化にはタグマネージャーが便利です。
これらを設定すると、数時間~翌日から自社サイトのアクセスデータがGA上で確認可能になります。
リアルタイムレポートや標準レポートで確認する指標
設定が完了したら、実際にGoogleアナリティクスの管理画面からPVを確認してみましょう。GA4では「イベントベース」の計測が基本となっているため、従来のPV表示とは若干異なりますが、以下の手順で同様の情報が取得できます。
【確認すべき画面と指標】
- リアルタイムレポート
現在自社サイトを閲覧しているユーザー数を確認可能。「ページビュー(page_view)」というイベントが発生しているかを見ることで、PVの動きをリアルタイムで把握できます。 - レポート → ライフサイクル → エンゲージメント → ページとスクリーン
各ページごとの「表示回数(Views)」が確認できます。これが事実上のPV数に該当します。 - レポート → ユーザー → ユーザー属性
地域や言語、デバイスなど、アクセスしているユーザーの傾向も同時に確認できます。
これらのレポートを日・週・月単位でチェックすることで、PVの変動やコンテンツごとのパフォーマンスを可視化できます。
PV確認に必要なGA4の基本用語

GA4を使ってPVを調べるには、レポートに登場する用語の意味を正しく理解することが前提です。GA4では従来と異なるイベントベースの指標が導入されているため、初心者にとってはやや分かりづらく感じる部分もあります。ここでは、PVの確認と分析に必要な基本用語を整理し、それぞれの意味と活用法を解説します。
ユーザーとセッションの意味と計測の違い
SEOやWebマーケティングでは、「ユーザー数」や「セッション数」が頻出用語ですが、これらの違いを正確に把握することで、PVの解釈にも深みが増します。
【用語の定義】
| 用語 | 定義 |
| ユーザー | Webサイトを訪問した「人」の数。同じ人が複数回来ても1ユーザーとしてカウント(期間による) |
| セッション | ユーザーがWebサイトに訪問してから離脱するまでの一連の流れ(通常30分以内) |
【違いと関係性】
- 1人のユーザーが1日に2回訪問すれば「1ユーザー・2セッション」
- 1回のセッション中に3ページ閲覧すれば「3PV」
つまり、ユーザー → セッション → PVという階層構造で理解すると、データのつながりが見えてきます。
ユーザー属性レポートで分かる訪問者の属性
PV数を増やすだけでなく、どんなユーザーがどこから来て、どのような行動をしているのかを知ることが重要です。GA4では「ユーザー属性」や「テクノロジー」などのセクションでオーディエンス情報を確認できます。
【把握できる主な項目】
- 国・地域・言語
地理的なターゲットの傾向が明確になります。 - 年齢・性別(推定値)
コンテンツの調整や広告のターゲティングに活用可能です。 - デバイス・ブラウザ・OS
スマートフォン比率が高い場合はモバイル最適化が必須です。
これらの情報により、自社の想定しているターゲット層とのギャップを発見し、コンテンツの方向性やデザインの改善につなげることができます。
集客・エンゲージメントレポートを使った流入元と閲覧状況の把握
PV数を増やすには、「どこから来たユーザーが、どのページをどのように閲覧したか」を把握する必要があります。GA4では「ライフサイクル → 集客」「エンゲージメント」などの項目でそれが確認できます。
【主な確認ポイント】
- 参照元(チャネル)
自然検索(Googleなど)、SNS、広告、直接流入などの内訳を把握します。 - ランディングページ
ユーザーが最初に訪れたページを確認することで、コンテンツの入り口を最適化できます。 - ページとスクリーン
ページごとの表示回数や平均エンゲージメント時間が分かり、ユーザーの関心を数値で把握可能です。
これらのレポートを組み合わせて分析することで、PVを単なる数値としてではなく、「質の高い訪問につなげるヒント」として活かすことができます。
競合サイトのPVを調べるための外部ツールを活用する
自社サイトだけでなく、競合サイトのPVやアクセス傾向を把握することは、戦略的なサイト改善に大きく役立ちます。競合の強みや弱みを知ることで、SEO施策やコンテンツ企画に活かす材料が得られるためです。ここでは、代表的な競合分析ツールの特徴と使い方、無料と有料の違いについて解説します。
SimilarWebやSemrushで得られるデータの活かし方
SimilarWebとSemrushは、競合サイトのトラフィックデータを可視化できるツールとして非常に有名です。無料版でも基本的な情報は把握でき、有料版を使えばさらに深掘りした分析が可能になります。
【SimilarWebの特徴と活用ポイント】
- 推定訪問者数、訪問あたりのページ数、平均滞在時間、直帰率などが確認可能
- 集客チャネルの内訳(検索・SNS・リファラルなど)も視覚的に把握できる
- 業種・カテゴリ別のベンチマークとしても有用
活用例:競合がSNSから多く流入していることが分かれば、自社でもSNS対策を強化する施策を立てやすくなります。
【Semrushの特徴と活用ポイント】
- 競合が獲得しているキーワードと順位を確認できる
- 被リンクの状況、広告出稿の有無まで分析可能
- トラフィック推定値と検索パフォーマンスを比較できる
活用例:競合がどのキーワードで流入を得ているかを分析し、自社コンテンツの企画やリライトに役立てられます。
無料で使える範囲と有料ツールとの違い
これらのツールには無料版と有料版がありますが、得られる情報の“深さと信頼性”に大きな差があります。
【無料で使える内容(主な制限)】
- 閲覧できるドメイン数や期間が制限される(例:過去1ヶ月分のみ)
- 表示されるトラフィック数は概算レベル
- 機能制限により詳細データの取得が難しい
【有料版でできること】
- 複数ドメインの詳細なトラフィック比較
- 完全なキーワード順位・競合チャネル比較
- CSVダウンロードやレポート作成機能の利用
まずは無料版で全体感を把握し、本格的に競合分析を行うタイミングで有料版の導入を検討するのが現実的です。特にBtoB分野ではアクセスデータが希少なため、少しでも信頼性の高いデータを活用することが、差別化戦略のヒントになります。
※無料版で提供されるデータや機能は、ツールのアップデートにより変更される場合があります。最新の情報は各ツールの公式サイトをご確認ください。
PVを効果的に活用してサイト改善につなげる方法

PVは、単なる数値ではなく、ユーザー行動やコンテンツの成果を可視化する重要なヒントです。正しく分析し、改善施策に落とし込むことで、Webサイトの質を高め、成果へとつなげることが可能になります。ここでは、PVとコンバージョンの関係、そしてアクセス解析から得たデータの活用方法を解説します。
訪問者数とコンバージョン率の関係を理解する
PVが多い=成果が出ているとは限りません。PVは“量”、コンバージョン(CVR)は“質”を示す指標であり、両者のバランスが重要です。
【よくある誤解とその改善例】
- PVは多いのにCVが少ない
→ 流入経路と検索意図がミスマッチ。ランディングページやCTAの設計を見直す。 - CVは多いがPVが伸びない
→ 優れた訴求力があるが、認知不足。SEOや広告施策で集客強化が必要。
このように、PVとCVの比率を見ることで、どのページにどんな課題があるかを可視化できるようになります。
【改善アプローチの例】
| 状況 | 改善施策の方向性 |
| PVは高いがCVが低い | コンテンツや導線の見直し、CTAの改善 |
| PVもCVも低い | キーワード戦略や検索意図の再設計 |
| 特定ページのPVが突出している | その流入元を分析し、関連コンテンツを強化 |
PVは「どこが見られているか」だけでなく、「なぜ成果につながっていないのか」の原因を探る分析材料としても非常に有効です。
アクセス解析から得られたデータで施策を打つ方法
アクセス解析の結果をもとにした改善施策には、“仮説→実行→検証→改善”のPDCAサイクルが重要です。PVの変化を指標にしながら、他のデータと組み合わせて検証を進めましょう。
【具体的な改善サイクル】
- 仮説立案
例:「ファーストビューの情報が不足していて、離脱が多いのでは?」 - 施策実行
→ ヒートマップで視認性を確認し、デザインやコピーを変更。 - 検証
→ GAでPV・滞在時間・CVの変化を追う。 - 改善
→ 成果が見られれば他ページにも展開、効果が薄ければ別案を試す。
この繰り返しによって、Webサイト全体のパフォーマンスが徐々に底上げされていきます。
また、PV以外のデータ(エンゲージメント率・離脱率・平均エンゲージメント時間)と組み合わせて見ることで、ユーザーがどこで興味を失っているか、何に価値を感じているかが見えてきます。それに応じた改善を行えば、PVは単なる“数”から“成果に直結する数値”に変わっていくのです。
まとめ
PVを正しく調べて活用することは、Webサイトの現状を客観的に捉え、的確な改善を進めるための第一歩です。GA4を使えば、自社サイトのアクセス状況を詳細に把握でき、さらにSimilarWebやSemrushなどの外部ツールを併用すれば、競合との比較や市場のトレンドも視野に入れた施策を立てることができます。
本記事では、PVと関連指標の違い、GA4での確認方法、分析に役立つ用語解説、競合調査の手法、そしてPVデータを活かした改善方法までを丁寧に解説しました。PVを“見るだけ”で終わらせず、“成果につなげるための行動指標”として活用することが、今後のWebマーケティング成功のカギとなります。
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