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Google広告を活用する多くの企業が抱える課題のひとつに、クリック率(CTR)の低さがあります。広告の表示回数は多いのにクリック数が伸びない、その原因が分からず成果に結びつかないという声も少なくありません。
ここでは、リスティング広告のCTRの基本から業種別の平均、CTRが低下する原因や改善策までを詳しく解説します。広告の成果を向上させたい方にとって、CTRは「見るべき指標」の一つです。
この記事を読めば、CTRを改善する具体的なアクションが分かり、効果的な広告運用を実現できます。
なぜCTRが上がらないのか?Web担当者が見落としがちな原因
CTRの低さは、広告がユーザーの関心を引けていないことを意味します。しかし、単に広告文の内容だけでなく、運用や設定に潜む小さな見落としが大きな差を生むことがあります。
ここでは、CTRが思うように上がらない原因について、特に見落とされがちな要素を取り上げ、それぞれの問題点を詳しく解説します。
キーワードと広告文の関連性が弱い
キーワードと広告文の関連性が薄い場合、ユーザーの検索意図に合致せず、CTRは低下します。
たとえば「格安 旅行 沖縄」と検索しているのに、「海外旅行全般の情報を掲載」といった広告文では関心を引けません。広告文は、設定したキーワードに対してピンポイントで応えるよう設計することが必要です。
Google広告では、広告とキーワードの関連性が品質スコアに反映され、広告ランクにも影響を与えます。広告文内にキーワードを自然に盛り込むことで、ユーザーの注意を引きやすくなり、CTRが向上します。
品質スコアや広告ランクが低下している
品質スコアは、主に以下の3つの要素で構成されています。
- 推定CTR(Expected CTR)
- 広告の関連性(Ad Relevance)
- ランディングページの利便性(Landing Page Experience)
広告ランクが低いと、そもそも上位に表示されにくく、ユーザーの目に触れる機会も減少します。広告の表示位置が下がることでCTRはさらに悪化し、結果的にコストパフォーマンスも低下します。
広告グループごとに品質スコアを確認し、スコアが低い要因を洗い出して改善することが重要です。
ユーザー視点の広告文が設計できていない
広告文が自社のアピールポイントばかりを強調し、ユーザーが「自分に関係ある」と感じられない内容では、クリックされる確率は低くなります。
ユーザーの悩みやニーズを反映したコピー設計が不可欠です。
たとえば、「高品質な歯科治療を提供」ではなく、「痛みの少ない治療をお探しの方へ」というように、ユーザーの視点で価値を訴える表現にすることで、広告の訴求力は格段に高まります。
リスティング広告のCTRとは?意味と他指標との違い
リスティング広告の成果を分析するうえで、CTRは最も基本的な指標のひとつです。しかし、CTRだけを見て広告の良し悪しを判断してしまうのは危険です。
ここではCTRの正確な定義と計算方法、その他の指標との関係、そしてCTRの位置づけについて詳しく解説します。
CTRの計算方法と意味を理解する
CTR(Click Through Rate)は、広告が表示された回数のうち、何回クリックされたかを示す割合です。以下の計算式で求められます。
CTR(%)=(クリック数 ÷ 表示回数)×100
たとえば、広告が1000回表示されて50回クリックされた場合、CTRは5%になります。CTRが高いほど、広告がユーザーの関心を引けていることを意味します。ただし、CTRが高くてもコンバージョン(CV)に結びつかなければ、真の成果とは言えません。
CTRとCPC・CVR・CPAの関係を正しく捉える
CTRは広告運用の効果測定において、クリック単価(CPC)、コンバージョン率(CVR)、コンバージョン単価(CPA)と密接に関係しています。
| 指標名 | 意味 | CTRとの関係性 |
| CPC(クリック単価) | 1クリックにかかる費用 | CTRが高いと品質スコアが上がり、CPCが下がる傾向 |
| CVR(コンバージョン率) | クリック後に成果に結びついた割合 | CTRが高くてもCVRが低い場合は広告内容に問題あり |
| CPA(コンバージョン単価) | 1件の成果にかかった広告費 | CTRとCVRの両方が高いとCPAは抑えられる |
CTRは単体ではなく、他の指標とセットで分析することが重要です。表面的なクリック数だけに目を向けず、全体の流れを見て判断する必要があります。
CTRは広告効果を測る中間指標にすぎない
CTRは確かに重要な指標ですが、最終的なゴールである「売上」「問い合わせ」などのCVと直結しているわけではありません。広告がクリックされた後のランディングページやユーザー体験も大きな要素です。
また、CTRが高くても「無関係なユーザー」にクリックされていたら、コストばかりかさみます。
CTRはあくまで広告が関心を引けているかの中間指標であり、最終成果につなげるためには他の施策と併用して活用することが求められます。
Google広告におけるCTRの平均と相場を把握する
CTRの目標値を設定するには、業界全体の平均やキーワードの種別ごとの相場を知ることが非常に重要です。
ここでは、Google広告におけるCTRの平均値や、キーワードの分類、広告の種類別にどのような違いがあるのかをデータとともに解説します。自社のCTRが適正かどうかを判断するための基準として参考にしてください。
指名キーワードと一般キーワードの平均CTR
キーワードには「指名キーワード」と「一般キーワード」があり、それぞれCTRの傾向が異なります。
| キーワードの種類 | 内容 | 平均CTRの傾向 |
| 指名キーワード | 企業名や商品名など、明確な目的で検索される | 一般的に15%〜30%程度と非常に高くなる傾向がある |
| 一般キーワード | 「格安 保険」や「東京 カフェ」など、広範な検索意図 | CTRは2〜5%程度で安定 |
指名キーワードは、すでにブランドに興味を持っているユーザーによる検索が多いため、CTRが高くなりやすいです。一方、一般キーワードは競合も多く、広告文や表示順位の工夫が必要になります。
業種別のCTR平均データ
業種によってCTRは異なり、一般的にユーザーの検索意図が明確な教育や旅行業界は高く、検討期間が長いBtoB領域では低くなる傾向があります。
| 業種 | 平均CTR(%) |
| 教育・人材 | 5.3 |
| 小売・EC | 4.9 |
| 医療・美容 | 4.1 |
| 不動産 | 3.7 |
| BtoB | 3.1 |
教育や小売はユーザーのニーズが明確なため、CTRが高い傾向にあります。BtoB領域では検討期間が長いため、CTRもやや低めですが、CPAが高くても成約単価でカバーできるビジネスモデルが多いのが特徴です。
ディスプレイ広告と比較してどう違うか?
検索広告とディスプレイ広告では、CTRに大きな差があります。下記は一般的な値です。
| 広告タイプ | 平均CTR(%) | 特徴 |
| 検索広告 | 約3% | 顕在層をターゲットにした広告でCTRが高い |
| ディスプレイ広告 | 1%未満 | 認知目的や潜在層向けのためCTRは低め |
ディスプレイ広告は視認性が高くても、ユーザーの関心が検索広告ほど高くないため、CTRは全体的に低くなります。その分、インプレッション単価が安く抑えられるなどの利点もあります。
CTR改善で得られる3つの大きなメリット

CTRを改善することは、広告運用における単なる数値の向上にとどまりません。広告費の効率化や成果の最大化など、ビジネス全体に対しても大きな効果をもたらします。
ここではCTRを改善することで得られる具体的な3つのメリットについて紹介します。
CPCが下がり、コスト効率が上がる
Google広告では、広告の品質スコアが高いほど、CPCが低くなる傾向があります。そして、CTRはその品質スコアに直結する要素のひとつです。
CTRが高くなると以下のような好循環が生まれます。
- 高CTR → 品質スコア向上
- 品質スコア向上 → 広告ランク上昇
- 広告ランク上昇 → より安いCPCで高い掲載順位が可能
つまり、同じ予算でもより多くのクリックを得られるため、広告運用の費用対効果が向上します。
CVが増え、CPAが最適化される
CTRが改善されると、広告が興味関心の高いユーザーに届きやすくなり、結果としてCVも増加します。CTRの向上は以下のプロセスに影響します。
- 興味を引く広告 → 多くのクリック → CVチャンスの増加
- 適切なターゲティング → 質の高いトラフィック → CVRの上昇
このように、CTR改善はCV数の増加とCPA(1件あたりの獲得単価)の最適化という2つの効果を同時に実現することが可能です。
広告ランクが向上し、表示機会が広がる
広告ランクは、入札単価と品質スコアを主な要素としつつ、ユーザーの検索状況や広告表示オプションの効果なども加味されて総合的に決まります。品質スコアを高めることは、広告ランクを有利にするための重要な手段です。
広告ランクが高くなると、
- より高い広告掲載位置が確保できる
- 上位表示により視認性が高まる
- モバイル表示や広告オプションの表示確率も上昇
CTRの向上は単なる「クリックされやすさ」の問題にとどまらず、広告の露出を最大化するための重要な戦略でもあるのです。
【明日からできる】CTRを上げる実践テクニック

CTRを向上させるには、単に広告文を変更するだけでは不十分です。キーワードの選定、広告の構成、オプションの活用など多面的な工夫が求められます。
ここでは、すぐに取り組めて効果の高い実践的なテクニックを紹介します。CTR改善を目指すWeb担当者にとって、必ず押さえておきたい施策です。
キーワードと広告文の親和性を高める
広告文の中に設定キーワードを自然に組み込むことで、ユーザーの検索意図と広告の一致度が高まり、CTRが上がります。以下のようなポイントを意識しましょう。
- タイトルにキーワードを含める
- 説明文で具体的な価値提案を記述する
- 表示URLも関連ワードを含める
たとえば「オンライン英会話」というキーワードに対して、「月額3,000円から始められるオンライン英会話」といった広告文にすることで、ユーザーの目に留まりやすくなります。
広告表示オプションや構造化スニペットを活用する
Google広告には、基本の広告文以外にも複数の表示オプションが用意されています。これらを設定することで、広告面積を広げつつ情報量もアップでき、CTRの向上が見込めます。
- サイトリンク表示オプション:複数のページリンクを表示
- コールアウト表示オプション:特徴やサービスの訴求文を追加
- 構造化スニペット:サービスのカテゴリや特徴を見せる
広告文と合わせて視認性を上げ、ユーザーにとって魅力的な選択肢を増やすことがポイントです。
レスポンシブ検索広告やキーワード挿入機能を活用する
レスポンシブ検索広告では、複数の見出しと説明文を登録しておけば、Googleが最適な組み合わせを自動で表示します。
さらに「キーワード挿入機能(キーワードインサーション)」を使えば、検索されたキーワードに応じて広告文を動的に変えることが可能です。
- 動的な文章表示によりユーザーとの関連性を強調できる
- 高CTRのパターンが自動的に判別される
特に多くのキーワードを含む広告グループでは、レスポンシブ広告との相性が抜群です。
A/Bテストで広告文を継続的に最適化する
広告文は「作ったら終わり」ではなく、継続的なテストと改善がCTR向上のカギです。2つ以上の広告文を同時に配信し、クリック数やCTR、CVRなどの成果を比較しましょう。
- キャッチコピーの違い
- ベネフィットの表現方法
- 呼びかけの文体(例:「今すぐ」vs「まずは」)
このように複数の観点でテストを繰り返すことで、効果的な表現を見極め、成果の高い広告文へと進化させることができます。
品質スコア向上を意識した構成に改善する
CTRの改善は品質スコアの向上に直結しますが、そのためには広告文とランディングページの一貫性も大切です。
- 広告文とLPに共通のキーワードを使う
- ユーザーの検索意図に即した内容構成にする
- 読み込み速度やスマホ対応の最適化
全体設計を「ユーザー目線」で見直すことが、広告全体のパフォーマンスを高める第一歩になります。
まとめ
リスティング広告のCTRは、広告運用の成果を大きく左右する重要な指標です。本記事では、CTRが上がらない原因やCTRの本質的な意味、Google広告における平均的な相場、さらにCTR改善によって得られる具体的なメリットや実践的な改善策までを詳しく解説しました。
CTRは広告の第一印象ともいえる要素であり、ユーザーの興味を惹きつける力そのものです。特に、CTRの改善はCPCの低下やCVの増加、広告ランクの向上といった複数の効果を同時にもたらすため、広告運用の中でも最優先で取り組むべきポイントといえます。
また、CTRを高めることで、広告全体の効果測定もより明確になり、費用対効果の高い施策が可能になるでしょう。
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