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BtoB企業にとって、広告施策は顧客獲得の鍵を握る重要な戦略です。しかし、BtoCと異なり、商談までのリードタイムが長く、広告の成果が見えにくいという課題を抱える企業も少なくありません。
自社にとって最適な広告媒体を見極め、潜在層と顕在層それぞれに合ったアプローチを実行できれば、リード獲得の効率は飛躍的に高まります。
ここでは、BtoB企業が成果を出すために選ぶべき広告媒体やその活用法について徹底的に解説します。広告戦略に悩む担当者が、自信を持って媒体を選定し、確実に成果へつなげられるようになることを目指しています。
なぜBtoB広告は成果が出にくいのか
BtoB広告は、BtoCとは異なる購買プロセスを持つため、広告効果が見えにくく成果を出すまでに時間がかかる特徴があります。また、ターゲットの明確化や社内の意思決定プロセスの複雑さなど、運用面でも多くの壁が存在します。
ここでは、BtoB広告の成果が出にくい理由を3つの視点から解説し、その本質を明らかにしていきます。
BtoBは検討期間が長く広告効果が見えにくい
BtoB商材は、購入までの意思決定プロセスが長くなる傾向があります。特に以下のようなケースでは、導入可否の判断に時間がかかります。
- ITソリューションの選定
- 業務用機器の導入
- 高額な業務支援ツールの導入検討
これらの場合、検討期間が数週間から数か月に及ぶことも珍しくありません。そのため、広告を出してもすぐに成果が出るケースは少なく、継続的な接触と情報提供が重要になります。
広告施策の評価についても、短期的なクリック数や反応率だけで判断すると正確な効果測定が難しくなるため、以下のような中長期的な視点での設計が求められます。
- 認知段階からの行動履歴を把握
- 比較・検討フェーズへの移行をトラッキング
- 最終的なCVまでの動線を設計
このように、一連のプロセスをKPIとともに可視化し、段階ごとに適切な施策を講じる体制を整えると、広告運用の成功率が高くなります。
媒体選びの失敗がCV獲得を阻む
広告効果が出ない理由の一つに、媒体選定のミスマッチがあります。自社の商材やターゲット層に合わない媒体を使ってしまうと、どれだけ広告費をかけても期待する成果は得られません。
たとえば、ニッチな製造業向けの製品に対して、大衆向けのSNS広告を利用しても、適切なリード獲得にはつながりにくいです。そのため、媒体ごとの特性や得意なターゲット層を理解した上で、自社に最適なものを選ぶことが成功の鍵となります。
ターゲティングの難しさと社内体制の壁
BtoB広告では、「誰に向けて配信するか」を明確に定義することが極めて重要です。職種、業種、企業規模などを細かく設定する必要があり、BtoCよりも複雑なターゲティングが求められます。
しかし、現場のマーケティング部門と営業部門で理想のリード像が食い違っていることも少なくありません。加えて、広告施策に対する社内の理解や協力体制が不十分だと、せっかくの戦略も実行段階でつまずく可能性があります。
このような背景から、ターゲット設定と社内連携の強化が、BtoB広告で成果を出すための土台と言えるのです。
広告媒体選定に必要な3つの判断基準
BtoB広告で成果を出すには、媒体選定が成否を大きく左右します。予算やクリック単価だけで判断してしまうと、自社の商材や顧客に合わない広告チャネルを選んでしまうリスクがあります。
ここでは、自社に最適な広告媒体を選ぶための3つの判断基準を紹介し、それぞれの観点でどのように選定すべきかを詳しく解説していきます。
自社商材と顧客のカスタマージャーニーを軸にする
広告媒体を選ぶ際、最も重要な基準の一つが「顧客のカスタマージャーニー」です。顧客がどの段階にいて、どのような情報を求めているかによって、適した広告媒体は異なります。
たとえば、まだ課題に気づいていない潜在層には、記事広告やSNS広告など、認知と理解を促す媒体が効果的です。一方、比較検討フェーズにある顕在層には、リスティング広告や資料請求サイトなど、明確なアクションを引き出すチャネルが適しています。
このように、自社の提供する商材とターゲットの購買プロセスを丁寧に分析することで、媒体の選定に一貫性が生まれ、成果につながる広告運用が実現できます。
クリック単価とCVRから費用対効果を比較する
広告施策では、単に「クリック単価(CPC)が安いから良い」ではなく、「コンバージョン率(CVR)」と合わせて費用対効果を見極めることが重要です。
たとえば、ある媒体でCPCが高くてもCVRが高ければ、最終的なCPA(顧客獲得単価)は安く抑えられる可能性があります。媒体ごとの一般的な傾向は以下の通りですが、これらはあくまで目安であり、自社の実績データに基づいて判断することが不可欠です。
| 媒体 | 平均CPCの傾向 | 平均CVRの傾向 | 主な特徴 |
| リスティング広告 | 中〜高 | 高い | ニーズが明確な顕在層向け。キーワードによっては高騰するが、CVにつながりやすい。 |
| SNS広告 | 低〜中 | 低い | 認知拡大や潜在層向け。幅広いリーチが可能だが、直接的なCV率は低め。 |
| 比較サイト | 高 | 非常に高い | 検討段階の顕在層向け。単価は高いが、質の高いリードを獲得しやすい。 |
このように、数値で費用対効果を比較することで、限られた予算の中でも成果を最大化できる媒体を選ぶことができます。
顕在層・潜在層へのアプローチ適性で選ぶ
広告媒体には、それぞれ得意とする層(顕在層または潜在層)があります。これを理解せずに媒体を選んでしまうと、ターゲットに刺さらない広告になってしまいます。
- 潜在層向けの媒体
SNS広告、ディスプレイ広告、記事広告
認知拡大や理解促進に効果的 - 顕在層向けの媒体
リスティング広告、資料請求サイト、比較メディア
明確なニーズを持った層へのアプローチに最適
自社の狙うターゲット層が今どのフェーズにいるのかを見極め、その層にマッチした媒体を選定することが、CVへの最短ルートとなります。
目的別に見るBtoB向け広告媒体7選
BtoB企業が広告媒体を選ぶ際、目的に応じて適切なチャネルを使い分けることが非常に重要です。すべての媒体が全てのフェーズに適しているわけではなく、即効性が求められる場面や、認知を広げたい場合などで適した選択肢が異なります。
ここでは、目的別に7つの主要広告媒体を解説し、それぞれの特性と活用方法について詳しく紹介します。
即効性重視ならリスティング広告(顕在層向け)
リスティング広告は、検索エンジンで特定のキーワードを検索したユーザーに対して表示される広告です。ニーズが顕在化している層にアプローチできるため、即効性が高い広告媒体といえます。
BtoB領域で効果的なキーワード例:
- 「〇〇業務向けシステム」
- 「法人向け〇〇サービス」
- 「BtoB 導入事例」や「業務改善ツール 比較」など
このようなキーワードで検索するユーザーは、すでに課題を認識しており、購買意欲が高いことが多いため、クリック後のCVRも高くなる傾向があります。
ただし、以下のような注意点もあります。
- 人気キーワードでは単価(CPC)が高騰しやすい
- 同業他社との競合が激しくなる
- クリックされてもCVにつながらなければコストが無駄になる
そのため、あらかじめ自社が戦えるキーワードを絞り込み、訴求内容に沿ったランディングページ(LP)としっかり連携させることが成果を上げるためのポイントです。
認知拡大ならディスプレイ広告(潜在層向け)
ディスプレイ広告は、Webサイトやアプリの画面上にバナー形式で表示される広告です。主に「認知拡大」を目的とした施策で、潜在層へのアプローチに適しています。
この広告の主な特徴は以下のとおりです。
- 視覚的に目に留まりやすく、ブランドや製品イメージを印象づけやすい
- 動画広告やアニメーションなども活用でき、訴求の幅が広い
- まだ課題に気づいていない潜在層に対して、興味を引くことができる
特に以下のようなBtoB商材に適しています。
- 高単価な製品やサービス
- 検討期間が長く、比較検討が重視される商材
- 業界特化型やニッチ市場向けのサービス
ただし注意点として、ディスプレイ広告単体ではCV(問い合わせ・資料請求)につながりにくいという特性があります。
そのため、次のような組み合わせが効果的です。
- 広告で認知を得た後に、指名検索を誘導
- 訪問者に再接触するリターゲティング広告と併用
このように設計することで、潜在層にアプローチしつつ、最終的な成果につなげる流れを作ることが可能です。
指名検索を促す記事広告(潜在層→顕在層へ)
記事広告(ネイティブ広告)は、メディアの記事として自然な形で掲載される広告形式であり、読者に違和感なく情報を届けられるのが特徴です。商品やサービスの魅力をストーリー仕立てで伝えるのに最適な手法です。
活用例としては、以下のようなコンテンツが効果的です。
- 導入事例を通じて、実際の成果や効果を紹介する
- 業界全体の課題を取り上げ、自社サービスが解決手段になることを示す
- 顧客インタビューを通じて、信頼感や納得感を伝える
このような記事を読むことで、読者は次のような行動につながりやすくなります。
- 自分にも当てはまる課題だと「自分ごと」として捉える
- 商品名での指名検索を行う
- 他社との比較や資料請求など、比較検討フェーズへ進む
つまり、記事広告は「潜在層の興味関心を高めて顕在化させる」役割を持ち、ブランディングとリード獲得の間をつなぐ媒体として非常に効果的です。
精度の高いターゲティングが可能なSNS広告
SNS広告は、Facebook、LinkedIn、X(旧Twitter)などのプラットフォームを活用した広告手法であり、高精度なターゲティングが可能な点が大きな特徴です。
特にBtoBマーケティングにおいては、以下の理由から有効です。
- 業種や職種、役職、企業規模といったビジネス属性での詳細なターゲティングが可能
- BtoBサービスの意思決定者やキーパーソンにダイレクトにアプローチできる
- 業務に関連する情報収集やネットワーキングを目的に利用される傾向が強い
なかでもLinkedIn広告は、以下のような点でBtoB向けに優れています。
- ユーザー情報がビジネスプロフィールに基づいているため信頼性が高い
- 職種や部門別、企業規模別などのセグメントに対して正確な配信ができる
- 企業名を指定してターゲティングするABM施策とも相性が良い
ただし、SNS広告には次のような注意点もあります。
- ターゲットの絞り込み精度によっては、CPCが高くなる傾向がある
- ターゲットを絞り込みすぎると配信ボリュームが確保できないことがある
- 広告クリエイティブが訴求に合っていないと費用対効果が下がるリスクがある
そのため、ターゲット設定の精度と、配信する広告クリエイティブの最適化がとても大切です。媒体ごとの特徴を理解し、自社の目的に合った運用設計が必要です。
資料請求が見込める比較・紹介メディア
BtoB商材を検討するユーザーが比較・検討フェーズに入った段階では、比較・紹介メディアが非常に有力な広告媒体です。複数のサービスを並べて比較できるため、顧客にとって意思決定がしやすく、CVにもつながりやすい特性があります。
比較メディアが持つ主なメリットは以下の通りです。
- 同業他社と自社サービスを一覧で比較できる
- サービス内容や価格、実績などの違いが一目で分かる
- 比較後、そのまま資料請求や問い合わせへと進みやすい
また、多くの有名プラットフォームでは以下のような絞り込み機能が用意されており、高い精度でターゲットにリーチすることが可能です。
- 業種別(製造業、IT、建設業など)
- 課題別(コスト削減、業務効率化、人材管理など)
- 企業規模別や地域別での絞り込み
このように、見込み度の高いユーザーと接点を持ちやすいため、リードの質が高くなる傾向があります。
一方で注意点としては、
- 掲載費用が比較的高めに設定されていること
- 他社と並列で掲載されるため、差別化の工夫が必要なこと
とはいえ、獲得単価(CPA)は他の広告媒体に比べて安定しやすく、費用対効果に優れたチャネルとして多くのBtoB企業が活用しています。
業界紙や専門メディアの純広告
業界に特化した紙媒体や専門Webメディアへの広告出稿は、特定業界のターゲットに深くリーチできる非常に効果的な手法です。特に、次のようなニッチ業界では高い効果を発揮します。
- 製造業
- 医療業界
- 建設・インフラ関連業界
- 物流・運輸業界
これらのメディアの主な特長は以下の通りです。
- 読者が専門的な知識を持つ業界関係者であるため、広告への信頼性が高い
- 掲載されることで、そのメディアの信頼性を借りて自社ブランドの信用力が高まる
- 業界特化ゆえに、サービスや製品の訴求内容がマッチしやすい
ただし、次のような注意点もあります。
- 配信できる範囲が限られており、大量リーチには向いていない
- 業界によっては広告枠が少なく、掲載の競争率が高いこともある
このように、「特定業界に深く刺さる広告を打ちたい」「狙った業界での認知と信頼を高めたい」という場合には、専門メディアは非常に効果的な選択肢といえます。
BtoB企業限定の配信が可能なメール広告やリターゲティング
BtoB企業向けに限定されたメール広告は、購買に関わる意思決定者へ直接アプローチできる点が大きな魅力です。パーソナライズされた情報を届けることで、高い反応率が期待できる手法といえます。
メール広告の主な特徴は以下の通りです。
- 企業リストや業界別リストを使って、ターゲットを限定できる
- 役職者や部門長など、決裁権を持つ層へピンポイントでアプローチ可能
- 導入事例やセミナー案内など、目的に応じたコンテンツで関心を引ける
さらに、一度Webサイトを訪問したユーザーに再接触する「リターゲティング広告」も、BtoB商材において非常に効果的です。
リターゲティング広告の活用ポイント:
- 検討中のユーザーに対して継続的に情報を届けられる
- 資料請求や問い合わせページを訪れたユーザーの再掘り起こしが可能
- CVまでの導線を維持しやすく、成約率の向上につながる
特にBtoB商材は、以下のような特徴があります。
- 検討期間が長く、一度の接触だけでは成約に至らないケースが多い
- 情報収集や比較を繰り返す中で、定期的な再認知が必要
そのため、メール広告やリターゲティング広告のような「継続的な接点」を持つ仕組みは、成約率を高めるために不可欠な施策です。
媒体の特徴とターゲティング精度を比較する

広告媒体を選定する際には、各媒体が持つ「ターゲティング精度」の違いを理解することが重要です。BtoBマーケティングでは、誰にどんなメッセージを届けるかが成否を分けるため、属性や行動履歴、企業情報など、どのようなデータに基づいて配信できるのかを把握しておく必要があります。
ここでは、代表的な3つの視点で媒体のターゲティング精度を比較し、最適な選定基準を提示します。
職種・役職など属性ターゲティングができる媒体
BtoB広告では、「どの業界の、どの職種の、どの役職の人に届けるか」が極めて重要です。LinkedInや一部のビジネス系メディア広告では、業種・職種・役職・企業規模といった詳細な属性でターゲティングが可能です。
このような属性ターゲティングにより、経営層や部門長といった意思決定者に直接アプローチできるため、商談化率が高まりやすいメリットがあります。
| 媒体 | ターゲティング精度 | 対応属性の例 |
| 非常に高い | 業種、職種、役職、企業規模 | |
| 中程度 | 興味関心、勤務地、企業名(限定) | |
| 業界メディア | 高い | 読者属性に基づくセグメント配信可能 |
特に高単価な商材や導入ハードルが高いBtoBサービスの場合、精度の高い属性ターゲティングは費用対効果に直結します。
行動履歴に基づいたリターゲティング型広告の特徴
リターゲティング広告は、過去に自社サイトを訪問したユーザーに対して再度広告を表示する仕組みです。Googleディスプレイネットワーク(GDN)やFacebook広告など、多くの媒体で利用可能です。この手法では、資料請求ページを閲覧したが離脱したユーザーや、料金ページにアクセスした見込み層などに対し、再アプローチできる点が強みです。
一度接点を持ったユーザーは検討度が高いため、リターゲティング広告はCV率が高く、広告効率が良くなる傾向にあります。ただし、表示頻度の調整や期間設定を誤ると、逆効果になるため慎重な運用が求められます。
特定企業を狙えるアカウントベースド広告の活用
アカウントベースドマーケティング(ABM)に対応した広告媒体では、特定の企業や法人アカウント単位で広告を配信することが可能です。代表的なプラットフォームには、FORCASのような顧客戦略プラットフォームと連携した広告配信、Salesforceと連携可能なABMツールなどがあります。
これにより、ターゲット企業リストに含まれる企業のみに広告を配信し、営業活動と連携させるといった高度な戦略が実現できます。特にアプローチ先企業が限定されている商材や、エンタープライズ向けソリューションでは効果的です。
アカウント単位のターゲティングにより、広告の無駄打ちを削減し、高い精度でCVを狙えるメリットがあります。ABM施策との併用により、広告と営業が一体となった成果創出が可能となります。
潜在層と顕在層で分ける広告戦略の立て方
BtoBマーケティングでは、ターゲットが今どの段階にいるのかを見極めたうえで、広告戦略を構築することが成果につながります。潜在層にはまず認知と関心を生み出す施策が必要であり、顕在層には意思決定を後押しする具体的な情報提供が重要です。
ここでは、層ごとに効果的な広告戦略を解説し、チャネルの使い分けについても紹介します。
潜在層には「認知+理解」を促すタッチポイントを設計
潜在層は、自社商材に対するニーズや課題認識がまだ浅い層です。そのため、いきなりサービスを売り込むのではなく、「まずは知ってもらう」ことが重要な第一ステップになります。
この層には以下のようなタッチポイントが効果的です。
- SNS広告やディスプレイ広告での視覚訴求
- 業界トレンドを切り口にした記事広告
- セミナーやホワイトペーパーへの誘導
広告クリエイティブでは、自社のサービス説明よりも「ターゲットの課題解決」に寄り添った内容を意識すると、自然と関心を持ってもらいやすくなります。
顕在層には「比較・検討」を後押しする媒体を使う
顕在層は、すでに自社と似たサービスを探しており、比較検討のフェーズに入っているユーザーです。この層には、具体的な情報提供と明確なCTA(行動喚起)が必要です。
おすすめの媒体には以下があります。
- リスティング広告(特定キーワード検索ユーザーへの対応)
- 比較・紹介サイトへの掲載
- ホワイトペーパーや料金表の提示による資料請求導線
このフェーズでは、スペックや価格、実績などをしっかり伝え、自社が選ばれる理由を打ち出すことが、CVを促すためのポイントになります。
段階別にチャネルを使い分けるクロス戦略の重要性
BtoB広告では、1つの媒体だけに依存するのではなく、潜在層から顕在層までをカバーするクロスチャネル戦略が重要です。各チャネルの役割を明確に分けて使い分けることで、無駄なく成果につなげることができます。
クロス戦略の例:
| フェーズ | 目的 | 有効な媒体 |
| 潜在層 | 認知・理解の獲得 | SNS広告、ディスプレイ広告、記事広告 |
| 顕在層 | 比較・検討の促進 | リスティング広告、比較メディア、LP |
| 再アプローチ | CVの後押し | リターゲティング広告、メール配信 |
広告だけでなく、営業、コンテンツ、Web施策とも連携した「全体設計」を描くことで、リードの質と量の両面を向上させることが可能です。
よくある失敗例とその回避策
BtoB広告の成果が上がらないと感じている担当者の多くは、実は広告媒体の選定や設計の初期段階でつまずいているケースが多いです。
ここでは、よく見られる失敗パターンとその具体的な回避策を解説します。失敗から学び、広告施策を最適化するヒントを得てください。
クリック単価だけで媒体を判断してしまう
多くのマーケターが広告運用で意識する指標がクリック単価(CPC)です。しかし、CPCが安いからといって、必ずしも費用対効果が高いわけではありません。
たとえば、SNS広告でCPCが100円と安くても、CVRが0.5%では最終的なCPAは高くなる可能性があります。逆に、リスティング広告でCPCが400円でもCVRが5%あれば、結果的に効率的な広告になります。
回避策としては、CPCとあわせてCVRやCPAといった指標で総合的に判断し、「どの媒体が最もCVにつながるか」を見る視点が重要です。
BtoCと同じ感覚でターゲティングしてしまう
広告配信の経験がBtoC中心だった担当者が、そのままのノウハウをBtoBに適用してしまうことは危険です。BtoCでは年齢や趣味などの個人属性が重視されますが、BtoBでは業種や職種、企業規模、役職といった法人視点の属性が重視されます。
また、広告を見るのが担当者でも、最終的な意思決定に関わるのは別の役職者であるケースが多いため、ターゲット設計には階層的な視点も必要になります。
回避策として、商材の購買プロセスと意思決定フローを理解し、それに合ったターゲティング軸を設けることが欠かせません。
LPやCV設計が媒体と一致していない
どれだけ優れた広告でも、遷移先のランディングページ(LP)やCV設計が媒体の目的と合っていなければ効果は半減します。
たとえば、認知段階のユーザーにいきなり「資料請求」を促しても反応率は低くなります。広告は「誰に」「どんな期待感で」クリックさせるかを設計した上で、LPではその期待に応える情報提供とスムーズな導線を設計することが大切です。
回避策としては、媒体ごとにLPの内容やCTAを最適化し、CVまでの一貫性を持たせることが成功への近道です。
広告媒体選定からリード獲得までの実践ステップ

BtoB広告で成果を出すには、広告媒体の選定だけでなく、全体のプロセス設計と運用の継続改善が不可欠です。
ここでは、目的設定からKPI設計、配信後のPDCAまで、実践的なステップを順を追って解説します。実際の運用にすぐに取り入れられるよう、具体的な進め方を紹介します。
まずは目的とターゲットを明確にする
広告を開始する前に、「何のために広告を出すのか」「誰に届けたいのか」を明確にすることが最重要ステップです。目的が「認知拡大」なのか「リード獲得」なのかによって、選ぶ媒体やクリエイティブの方向性は大きく変わります。
ターゲット設定では、以下の視点で整理すると精度が高まります。
- 業種、業界
- 企業規模
- ターゲット部門(例:情報システム部、経営企画部など)
- 役職(決裁者なのか実務担当者なのか)
この段階を曖昧にしたまま広告をスタートさせると、無駄な配信につながり、成果が出にくくなります。
広告設計とKPIを媒体ごとに定める
次に、選定した媒体ごとに広告の内容と成果指標(KPI)を設計します。媒体によって得意なターゲット層やCVの形が異なるため、それぞれに最適化した設計が必要です。
たとえば:
- リスティング広告:KPIは資料請求数、問い合わせ件数
- SNS広告:KPIはクリック数、セミナー参加数
- 比較メディア:KPIは資料請求数、リード化率
また、広告文やバナーも、媒体の特性に応じて「刺さるメッセージ」に調整することで、CTRやCVRを大きく改善できます。
配信後は数値をもとにABテストと改善を繰り返す
広告は配信したら終わりではありません。成果を最大化するには、配信データをもとにABテストを行い、改善を繰り返すことが重要です。
ABテストの主なポイント:
- バナーの訴求軸(機能訴求 vs 成果訴求)
- タイトルやCTAの文言
- 配信ターゲットの属性調整(役職別、地域別など)
数値は、クリック率(CTR)、CVR、広告の表示回数、CPAなどを軸に分析し、反応の良かったパターンを基に広告内容をブラッシュアップしていきます。改善を続けることこそが、限られた広告予算を最大限に活かす秘訣です。
成功企業に学ぶBtoB広告媒体活用事例
実際に成果を上げている企業の事例からは、多くのヒントを得ることができます。広告媒体の選定や戦略設計、運用手法など、理論だけではなく、実践に即した知見を学ぶことが可能です。
ここでは、BtoB業界で注目されている3社の成功事例を紹介し、それぞれがどのように広告媒体を活用して成果を出したのかを具体的に解説します。
SaaS企業が記事広告と比較サイトで月間CV3倍に
あるSaaS系企業では、リード獲得の頭打ちを打開するため、記事広告と比較メディアの併用に取り組みました。
まず記事広告では、「業界の課題に対するソリューション」として自社サービスを紹介し、読者に「必要性」と「共感」を与えることを目的としました。
次に、記事から比較メディアへの導線を用意することで、興味を持ったユーザーがその場で他社と比較検討できる仕組みを構築しました。これにより、認知からCVまでの導線が短縮され、月間の資料請求数が従来の約3倍に増加しました。
複数の媒体を段階的に連携させることで、ユーザーの行動を自然にCVへ誘導する設計が功を奏した好例です。
製造業が専門メディア広告で質の高い問い合わせを獲得
製造業の中堅企業では、業界専門メディアへの純広告出稿を通じて、非常に質の高い問い合わせの獲得に成功しました。
この企業は、製造設備に特化した製品を扱っており、一般的なSNSやディスプレイ広告ではターゲットが絞りきれず、CVRが低迷していました。
そこで、業界の有力メディアへ出稿し、同時に製品の活用事例記事を掲載する。業界関係者に強くリーチすることができ、CV後の商談率が過去最高を記録しました。
「誰に」「どこで」伝えるかを業界に特化させたことで、無駄打ちを避け、効率の良いマーケティングを実現した事例です。
スタートアップがSNS広告+資料請求導線で商談化率向上
BtoB向けサービスを提供するスタートアップ企業は、SNS広告(主にFacebookとLinkedIn)と資料請求ページへの導線を組み合わせることで、商談化率を1.5倍に引き上げました。
広告では、実績データや導入効果をビジュアルで訴求し、クリック後にはホワイトペーパーや事例資料の請求ページへ遷移させる導線を用意します。SNS上でのターゲティングを活かして、特定の業種・役職層に向けた訴求が功を奏しました。
限られた広告費でも、媒体の特性を活かし、明確な目的をもった導線設計をすることで、高い成果を上げた好例といえるでしょう。
まとめ
BtoB広告はBtoCとは異なり、検討期間の長さやターゲットの特性により、成果が見えにくいと感じることも多い分野です。ですが、媒体ごとの特徴を正しく理解し、潜在層と顕在層に分けたアプローチを行うことで、着実にリード獲得の成果を伸ばすことが可能です。
特に、クリック単価やCVRだけにとらわれず、自社商材とターゲットのカスタマージャーニーに合わせた設計が広告戦略の要となります。
最も重要なのは、媒体を目的に応じて適切に使い分け、PDCAを回しながら改善を重ねることです。ターゲティングの精度を高め、広告とLPを一貫した設計にすることで、質の高いリードを効率良く獲得できるようになります。
ぜひこの記事を参考に、自社に最適な広告戦略を構築し、安定したリード獲得と売上成長を実現してください。
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