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自社サイトの検索順位を上げたいと考えているWeb担当者やマーケターにとって、SEO対策は欠かせない戦略のひとつです。
しかし「SEO対策」とひと口に言っても、コンテンツSEO、テクニカルSEO、外部対策など複数の種類があり、それぞれアプローチも施策も異なります。SEOの成果を最大化するには、まず全体像を理解し、自社にとって最適な対策を選び抜くことが重要です。
本記事では、SEO対策を「3分類 × 主な施策」で整理しながら、実践的に使える改善方法をわかりやすく解説します。読むことで、社内や外注先と共通認識を持ち、戦略的にSEOに取り組めるようになります。
SEO対策を始める前に押さえる基礎知識
SEO対策を効果的に進めるには、まず検索エンジンがどのようにウェブページを評価し、検索順位を決定しているかを理解することが欠かせません。
特に、インデックスやクローラーの役割、アルゴリズムの仕組みといった基本を押さえることで、後述する具体的な施策の意味がより明確になります。ここでは、検索エンジンの基本構造と、それを踏まえたSEOの重要概念について解説します。
検索エンジンの仕組みとアルゴリズム
検索エンジンは、世界中の膨大なウェブページを収集・分類し、ユーザーの検索意図に最も合致した情報を提供しています。これを可能にしているのが「クローラー」「インデックス」「ランキングアルゴリズム」です。
クローラーは、ウェブ上のリンクをたどってページを巡回・収集します。集めた情報はインデックスとしてデータベース化され、検索キーワードと照らし合わせてランキングアルゴリズムにより順位が決定されます。
このアルゴリズムは、コンテンツの質、被リンクの信頼性、ユーザー体験(UX)など多くの要因を総合的に評価します。つまり、検索上位を狙うには、単なるキーワードの詰め込みではなく、全体的なサイト品質の向上が不可欠なのです。
インデックスとクローラーが理解すべき理由
インデックスとクローラーを正しく理解することは、SEOの土台を固める上で非常に重要です。検索エンジンにページを認識してもらい、正しく評価されるためには、クローラーに発見され、かつ適切にインデックス登録される必要があります。
ここで大切なのが「クロール効率」と「インデックス最適化」です。クロール効率とは、クローラーが無駄なく必要なページにアクセスできる状態のことです。たとえば、URL設計や内部リンクの構造が複雑すぎると、クローラーが一部のページを見逃してしまうことがあります。
また、重複コンテンツや低品質なページが多いと、検索エンジンが評価対象とすべきページを誤認する可能性もあるため、インデックス対象をコントロールすることも求められます。
これらの基礎を理解しておくことで、後述するテクニカルSEOの施策がより効果的に機能します。
SEO対策を分類する3つの種類を把握する

SEO対策は多岐にわたる施策で構成されていますが、大きく分けて「コンテンツSEO」「テクニカルSEO」「外部対策」の3つに分類できます。これらはそれぞれ異なる目的と役割を持っており、全体として連携することで最大の効果を発揮します。
ここでは、それぞれの種類ごとに基本的な考え方と代表的な施策を整理し、自社の状況に応じた注力ポイントを見極められるようにします。
コンテンツSEOで検索意図を満たす
コンテンツSEOとは、ユーザーの検索意図に沿った情報を提供することで、検索順位を高める施策です。Googleはユーザーにとって有益で信頼できるコンテンツを評価するため、検索ニーズを的確にとらえたコンテンツ作成が求められます。
コンテンツSEOのポイントは、キーワードの選定、検索意図の理解、見やすい構成と分かりやすい文章の3点です。また、E-E-A-T(経験・専門性・権威性・信頼性)を意識した構成にすることで、Googleの評価も向上しやすくなります。
この施策はSEO対策の中でも成果が出るまでに時間がかかる傾向がありますが、中長期的に検索流入を安定させる力が強いのが特徴です。
テクニカルSEOでクロールとユーザビリティを改善
テクニカルSEOとは、検索エンジンがサイトを適切にクロール・インデックスできるよう技術的な側面から改善する施策です。また、ユーザーが快適に閲覧できる環境を整えることも含まれます。
具体的には以下のような対策が含まれます。
- 構造化データの実装
- ページ速度の改善
- モバイル対応の最適化
- 内部リンクの整理
- クローラビリティの強化
これらを行うことで、検索エンジンがサイトを正しく評価できるようになり、同時にユーザー満足度の向上にもつながります。
外部対策で被リンクとE-E-A-Tを強化
外部対策は、他サイトからの信頼や評価を得ることで検索順位を上げる施策です。主な要素は被リンク(バックリンク)とE-E-A-Tの信頼性構築です。
Googleは外部からの評価を非常に重視しており、質の高い被リンクを多く持つサイトは、権威があると判断される傾向にあります。ただし、低品質なリンクや購入リンクはペナルティの対象となるため注意が必要です。
外部対策には、ナチュラルリンクを促すコンテンツ制作や、サイテーションを増やす広報戦略が含まれます。これにより、検索エンジンだけでなく、ユーザーからの信頼も高めることができます。
内部施策で差がつくテクニカルSEOの具体策
テクニカルSEOは、検索エンジンのクロールやインデックスの精度、そしてユーザーの利便性を高める内部的な調整が中心となります。中でも重要なのが、構造化データの設計やモバイル対応、ページ表示速度、内部リンク構造などの技術的施策です。
これらの施策は目に見えにくい分、軽視されがちですが、実はSEO効果に直結する要素ばかりです。ここでは、差をつけるために実践すべき具体的なテクニカルSEO施策を紹介します。
構造化データとモバイルファースト対応
構造化データとは、検索エンジンがページの内容をより正確に理解するためのコード情報です。Googleの検索結果で表示されるリッチスニペット(レビュー評価やFAQ表示など)は、構造化データによって可能になります。
構造化データを使うことで、CTR(クリック率)の向上やユーザーの離脱率の低下が期待できます。たとえば、FAQページに構造化データを適用すれば、検索結果上に質問と回答が直接表示されるため、ユーザーの満足度が高まります。
また、モバイルファーストインデックスが主流となった今、スマートフォンでの閲覧最適化は必須です。レスポンシブデザインの採用、タップ領域の確保、フォントサイズの調整などが代表的な対応項目です。これらが整っていないと、検索順位にも悪影響が及びます。
ページ速度とコアウェブバイタルの最適化
ページ速度は、検索エンジンのランキング要因であると同時に、ユーザー体験に直結する指標です。特にGoogleが重視する「コアウェブバイタル」は、具体的に以下の3つの指標から成り立っています。
| 指標名 | 内容 |
| LCP(最大コンテンツ表示時間) | メインコンテンツが表示されるまでの時間 |
| INP(次の描画までのインタラクション) | ユーザーが操作を行ってから画面が応答するまでの時間 |
| CLS(累積レイアウト変更) | ページ内の予期しないレイアウト移動の頻度 |
これらを改善するには、画像やスクリプトの最適化、キャッシュの活用、不要なCSSの削除などが有効です。PageSpeed InsightsやLighthouseなどのツールを活用して、具体的な改善点を見つけ出しましょう。
URL設計と内部リンクでクローラー効率を高める
クローラーに正しくサイト構造を認識してもらうためには、URLの設計と内部リンクの最適化が不可欠です。理想的なURLは、シンプルかつ内容が想像できる構造であることが求められます。
たとえば、「example.com/service/seo」のように階層を明確にし、キーワードを含むことでSEO効果も期待できます。一方、長すぎるURLや記号が多いものは、クローラーにとってもユーザーにとってもわかりづらくなります。
内部リンクは、関連コンテンツ同士を適切につなぐ役割があります。クローラーが効率よくサイト全体を巡回できるよう、主要なページへリンクを集中させたり、パンくずリストを活用したりすることで、サイトの評価が底上げされます。
コンテンツSEOで実践すべき改善ステップ
コンテンツSEOは、検索ユーザーのニーズに応える質の高いコンテンツを提供し、自然な検索流入を獲得することを目的とした施策です。単に文章を書くのではなく、キーワード調査や検索意図の分析、E-E-A-Tの考慮、継続的な改善が重要です。
ここでは、成果を出すために実践すべきステップを3つに分けて解説します。
キーワード調査と検索意図のマッピング
キーワード調査は、ユーザーがどのような言葉で検索しているかを把握するための基本作業です。ただし、それだけでは不十分で、重要なのはそのキーワードの背後にある「検索意図」を正確に理解することです。
たとえば「SEO 対策 種類」というキーワードがあれば、それを検索する人は「どんなSEO施策があるのか」「どれをやるべきか」などを知りたいはずです。したがって、単なるリストではなく、それぞれの特徴や違い、優先度などを伝えるコンテンツが必要です。
検索意図をマッピングする際は、以下の観点で整理すると有効です。
- Know(知りたい)/ Informational:情報を求める意図。「SEOとは」など
- Go(行きたい)/ Navigational:特定のサイトへ行きたい意図。「Google Search Console」など
- Do(したい)/ Transactional:購入や予約など、取引をしたい意図。「SEO対策 依頼」など
- Buy(買いたい)/ Commercial Investigation:購入前に比較・検討したい意図。「SEOツール おすすめ」など
このように分類することで、各キーワードに合ったコンテンツ設計が可能になります。
E-E-A-Tを意識したライティング
Googleが高く評価するのは、経験・専門性・権威性・信頼性(E-E-A-T)を備えたコンテンツです。特に医療、金融、法律などのYMYL領域ではこの評価基準が厳しくなっています。
E-E-A-Tを強化するためには、以下のような工夫が効果的です。
- 著者プロフィールを明記する
- 実体験や事例を交える
- 信頼できる情報源に基づいた記述
- 会社情報や問い合わせ先の掲載
たとえば「SEO対策についての専門家が、実績ベースでアドバイスする」といった構成であれば、ユーザーも安心して情報を信頼できます。単なる情報の羅列ではなく、説得力と信頼感のある文章構成が求められます。
定期的なリライトとコンテンツ整理
コンテンツSEOは、公開して終わりではありません。検索ニーズや競合の変化に対応するために、定期的なリライトとコンテンツの整理が必要です。
リライトのポイントは以下のとおりです。
- 検索順位の下がった記事を見直す
- 新しい情報を追加する
- 重複コンテンツを統合する
- 内部リンクを最適化する
また、古くなった情報やアクセスのないページを整理することで、サイト全体の品質も向上します。Googleは「ユーザーにとって有益なコンテンツ」を評価するため、メンテナンスされているサイトは信頼度が高まります。
外部対策で質の高い被リンクを獲得する方法
外部対策は、他のウェブサイトからの評価を得ることで自サイトの信頼性を高め、検索順位の向上を狙う施策です。特に被リンク(バックリンク)の質と量は、検索エンジンにとって重要なランキング要因となります。
ただし、単にリンクを集めるのではなく、ナチュラルで信頼性の高いリンクを得ることが求められます。ここでは、具体的な被リンク獲得の方法と注意点について解説します。
ナチュラルリンクを促すコンテンツPR
ナチュラルリンクとは、他サイトの運営者やメディアが「価値がある」と判断して自発的にリンクしてくれるリンクのことです。これを獲得するには、まずリンクされる価値のあるコンテンツを作る必要があります。
ナチュラルリンクを得やすいコンテンツの特徴は以下のとおりです。
- データや統計を用いた調査レポート
- 業界のノウハウやハウツー記事
- ユニークな視点で分析したコラムやインタビュー
さらに、作ったコンテンツをPRする活動も欠かせません。プレスリリースの配信、業界メディアへの寄稿、SNSを活用した情報発信などにより、認知度を高めながら自然なリンク獲得を目指すことが重要です。
サイテーションとブランド名検索を増やす
サイテーションとは、他サイト上で自社のブランド名やサービス名が言及されることを指します。リンクがなくても、言及が多いことで信頼性が高いと判断され、間接的にSEOに良い影響を与えます。
サイテーションを増やす方法には、以下のようなものがあります。
- メディア掲載や取材対応
- SNSやYouTubeでの発信
- 口コミサイトやレビュー投稿の促進
これらによりブランド名検索も増加し、検索エンジンからの評価も上昇します。Googleはブランド名が検索される頻度も重要な信頼指標とみなしているため、PR活動との連携がポイントです。
スパムリンクの監視と否認
外部リンクの中には、自社が意図していないスパムリンクや低品質なリンクが紛れ込むことがあります。これらはペナルティのリスクがあるため、定期的にチェックし、必要に応じて「否認」することが必要です。
スパムリンクの確認には、「Google Search Console」のリンクレポートを活用します。明らかに無関係なドメインや、機械的に生成されたサイトからのリンクが見つかった場合は、否認ツールを使用して検索エンジンに無効化を申請します。
ただし、否認作業は慎重に行うべきで、有益なリンクまで否認してしまうと逆効果になるため、専門知識が求められます。可能であればSEOの専門家に相談しながら進めるのが安全です。
SEO対策を成功に導く優先順位とPDCAフロー

SEO対策は単発で終わるものではなく、継続的な改善と検証を繰り返すことで成果が積み上がっていきます。そのためには、現状を正しく分析し、改善ポイントを見極め、適切な施策を計画・実行・評価・改善していく「PDCAサイクル」が不可欠です。
ここでは、SEO施策の優先順位をつけ、効果的な運用体制を構築するための考え方を解説します。
現状分析で課題を特定する
まず最初に行うべきは、サイトの現状把握です。分析を通じて、どこに課題があるのか、何を優先的に改善すべきかを見極めます。主な分析項目は以下の通りです。
- 検索順位と流入キーワードの確認
- クリック率(CTR)と直帰率のチェック
- 表示速度やモバイル対応状況
- 被リンクやドメインオーソリティの把握
これらを「Google Search Console」や「Google Analytics」、「Ahrefs」「Semrush」などのSEOツールで可視化することで、問題点が明確になります。たとえば、順位は高いのにクリック率が低いページは、タイトルやディスクリプションの改善が必要です。
施策の効果を測るKPIとツール
SEO対策を効果的に進めるためには、明確なKPI(重要業績評価指標)の設定が重要です。施策ごとの目標を明確にし、数値で進捗を追える状態にすることで、改善の方向性がブレにくくなります。
KPIの一例
| 施策項目 | 主なKPI |
| コンテンツSEO | 検索流入数、滞在時間、CV数 |
| テクニカルSEO | ページ速度、モバイル対応率 |
| 外部対策 | 被リンク数、ドメイン評価値 |
これらのKPIは、前述のツールに加え、「PageSpeed Insights」「Lighthouse」「Screaming Frog」などを組み合わせて定点観測します。KPIが具体的であればあるほど、PDCAが回しやすくなります。
チームで共有する改善サイクル
SEO対策を継続的に進めるには、チーム全体で改善のサイクルを共有することが成功の鍵です。担当者任せにせず、定例ミーティングでの進捗報告や、ナレッジ共有を徹底することで、組織全体としてのSEO力が高まります。
効果的な運用体制を作るためのポイント:
- 月次や四半期ごとのKPIレビュー
- 成功施策や失敗事例のナレッジ化
- 外注先との情報共有・連携強化
特に外部パートナーと協働する場合、共通言語としてのSEO理解を社内に定着させることが、戦略的な施策実行には欠かせません。部門を超えた協力体制を築くことで、SEO施策はより実効性のあるものになります。
まとめ
本記事では、検索エンジンの仕組みやインデックスの基礎知識から始まり、各施策の実践的な改善方法までを体系的に解説しました。SEO対策には「コンテンツSEO」「テクニカルSEO」「外部対策」という3つの種類があり、それぞれが異なる視点から検索順位の向上に貢献します。
最も重要なのは、SEOは単発の施策ではなく、継続的な改善が求められるという点です。検索意図を深く理解したコンテンツの作成、クローラーに優しいサイト構造の整備、そしてナチュラルリンクの獲得を地道に積み重ねることが成果につながります。
SEO対策に取り組むことで、自社サイトが検索ユーザーにしっかり届き、信頼される存在となっていきます。PDCAをまわしながら最適な施策を見極め、今後のWebマーケティングに役立てていただければと思います。
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