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広告や販促にかかる費用は、限られた予算で運営する中小企業や個人事業主にとって大きな負担となることがあります。
特に販路開拓や新規事業展開を考える場面では、チラシやパンフレット、Webサイトの制作が欠かせません。そうしたときに活用したいのが、国や自治体が提供する補助金・助成金制度です。
本記事では、広告費に使える代表的な補助金・助成金の種類や対象経費、申請に必要な準備などを徹底解説します。この記事を通して、自社の販促活動に最適な補助金を見極め、経費の負担を抑えながら広告施策を成功させるヒントを得てください。
広告費に使える補助金の種類と活用メリット
広告宣伝にかかる費用を補助金でカバーできるとしたら、大きなコスト削減につながります。販路開拓や新事業の立ち上げにおいては、効果的な広告施策が成功の鍵を握ります。
ここでは、広告に活用できる補助金の種類や活用することによるメリット、そして実際に補助対象となる費用の範囲について詳しく解説します。
販路開拓や集客に特化した補助金が使える理由
販路開拓や集客を目的とした施策には、広告活動が欠かせません。国や自治体は、中小企業や個人事業主の経済活動を活性化させるため、こうした販促活動に対して補助金を用意しています。たとえば、「小規模事業者持続化補助金」などは、地域経済の活性化を目的としており、広告や宣伝活動がその支援対象に含まれています。
重要なのは、補助金が単なるコスト補填ではなく、事業成長の一環として位置づけられていることです。これにより、補助金を活用することで効果的な広告を実現しながら、企業全体の成長戦略とも連動させることが可能になります。
補助率や補助上限額を正しく理解することが重要
補助金にはそれぞれ補助率と補助上限額が設定されています。これを正しく理解することは、自己負担の範囲を把握し、無理のない予算計画を立てるうえで非常に重要です。
| 補助金名 | 補助率 | 補助上限額 |
| 小規模事業者持続化補助金 | 2/3 | 50万円(インボイス特例の適用により50万円~200万円上乗せあり) |
| 中小企業新事業進出補助金 | 1/2 | 2,500万円~7,000万円(従業員規模による。賃上げ特例の適用により上乗せあり) |
補助率とは、対象経費のうち補助金でまかなわれる割合を示す指標です。残りの費用は自己負担となるため、あらかじめ資金準備も検討しておきましょう。
広告・販促に使える補助対象経費の具体例
補助対象となる広告費には、印刷物やデジタル広告などさまざまな種類があります。以下は代表的な例です。
- チラシ・パンフレット作成費
- ホームページ・LP制作費
- Web広告費:Web広告用のバナー・動画制作費(※広告掲載費用は対象外)
- 動画広告制作費
- ロゴやパッケージなどブランディング関連費
ポイントは、「事業目的に関連した広告であるか」が明確であることです。個人的な趣味や娯楽、社内用途の案内資料などは対象外となることがあります。
中小企業や個人事業主が活用しやすい代表的な補助金制度

広告費を助成金でまかないたいと考える場合、どの補助金が最適かを見極めることが大切です。中小企業や個人事業主が活用しやすい補助金には、汎用性が高く、使いやすい制度が多数存在します。
ここでは代表的な3つの補助金制度を取り上げ、それぞれの特徴と活用シーンについて解説します。
小規模事業者持続化補助金はチラシやWeb制作に最適
「小規模事業者持続化補助金」は、販路開拓や業務効率化を支援する制度で、広告宣伝費にも利用可能です。とくにチラシやパンフレット、Webサイトなどの制作費用は、最も一般的な補助対象です。
この補助金の魅力は、以下の通りです。
- 補助率2/3
- 補助上限額は50万円(インボイス特例の適用により50万円~200万円上乗せあり)
- 広告活動や展示会出展なども対象
採択率が比較的高く、活用実績が豊富であることもポイントです。申請には「経営計画書」の作成が求められますが、無料相談窓口や申請サポート会社を活用することで、初めてでも対応しやすくなります。
中小企業新事業進出補助金で販促・広告費用をカバーできる場合も
独立行政法人 中小企業基盤整備機構 (SMRJ)が実施する「中小企業新事業進出補助金」は、新たな市場への参入や新製品開発などを目的とした企業に対し、広告・販促活動の費用も支援対象とするケースがあります。
この補助金は事業規模や内容に応じて審査されるため、採択のハードルはやや高い傾向にありますが、補助額も高く設定されており、従業員数に応じて最大7,000万円(賃上げ特例が適応された事業者は最大9,000万円)の支援が受けられます。
新サービスの立ち上げや事業モデル転換に伴うプロモーション展開を検討している企業には特に有効です。
補助金で実際に制作できる広告物の範囲とは
補助金を使って制作できる広告物は、その種類や用途によって対象かどうかが変わります。印刷物やWeb関連費用、さらにはブランド戦略に関するものまで、幅広く対象となる可能性があります。
ここでは、補助金でカバーできる具体的な広告物と、それぞれの条件について詳しく説明します。
チラシやパンフレットなど印刷物制作費の扱い
補助金でよく使われる広告物の代表が、チラシやパンフレットなどの紙媒体です。特に地域密着型の販促活動やイベント告知においては、印刷物の活用は非常に効果的です。
補助対象になる印刷物の条件には以下のようなものがあります。
- 事業目的に直接関係する内容であること
- 第三者に配布する広告・宣伝物であること
- 配布時期やエリアが明確であること
名刺や会社案内など社内配布用の資料や営業ツールだけでは対象外となる場合もあります。内容やデザイン、印刷部数などに応じて、事前に見積もりを取っておくと安心です。
ホームページやECサイトなどWebサイト関連費の対象例
Webサイトの制作費用も、多くの補助金制度で対象とされています。とくに新規サイトの構築やリニューアル、EC機能の導入など、販路拡大や売上向上に寄与する内容が対象です。
補助金で対象となるWeb関連費の例:
- 企業ホームページの新規立ち上げ
- ECサイトの構築や決済機能追加
- SEO対策を含むコンテンツ制作
- スマホ対応や多言語対応の強化
ただし、デザインのみの変更やブログ更新のみといった目的では対象外となることもあるため、機能追加や明確な目的を持った制作内容であるかを確認することが必要です。
ブランディングやプロモーションにも活用可能
補助金は、単に物理的な広告物の制作だけでなく、企業のブランド価値向上を目的とした施策にも利用できるケースがあります。
活用例としては、
- ロゴマークの制作や刷新
- 企業コンセプトを表現する映像広告
- SNSプロモーションやPR動画の配信
などがあります。事業の成長戦略と整合性があり、客観的に効果が期待できる内容であれば、こうしたブランディング施策も認められる可能性があるのです。
補助金活用に必要な申請準備とスケジュール管理

補助金を活用して広告制作を行うためには、事前の準備とスケジュール管理が不可欠です。申請書類の作成や実施計画の立案、申請から実施までの流れを正しく理解していなければ、せっかくのチャンスを逃してしまうことにもなりかねません。
ここでは、申請に必要な手順と書類、審査後の流れ、自治体独自の注意点について整理していきます。
補助金申請に必要な手順と書類の準備ポイント
補助金申請では、所定の書式に従って必要な書類を揃え、内容の正確性と実現可能性を証明する必要があります。以下は、よく求められる主要な書類です。
- 事業計画書または経営計画書
- 収支予算書(見積書含む)
- 会社概要・営業許可証の写し
- 過去の決算書類
これらの書類は、補助対象経費との整合性が重要視されるため、広告施策の目的や効果、スケジュールまで詳細に記載する必要があります。
また、審査基準には「地域経済への波及効果」「新規性」「継続性」なども含まれるため、単なる費用補填目的でないことを明確に示すことが求められます。
審査通過後から実施までに発生するスケジュール感
補助金が採択された後も、すぐに事業が始められるわけではありません。事前に「交付決定通知」を受けた後でなければ、費用を発生させてはいけないというルールがあるため、スケジュール管理が非常に重要です。
一般的な流れは以下の通りです。
- 公募開始〜締切(1〜2カ月)
- 書類提出・審査(1〜2カ月)
- 採択通知〜交付決定(1カ月)
- 補助事業の実施(〜6カ月)
- 実績報告〜補助金の支払い(1〜2カ月)
制作会社やパートナーとの連携もこのタイミングに合わせて調整する必要があります。予定より遅れると、補助金が使えなくなるリスクもあるため、余裕を持った計画を立てましょう。
自治体補助金の公募タイミングにも注意が必要
自治体が独自に実施している補助金には、募集期間や申請条件が毎年異なるものが多くあります。国の補助金とは違い、予算規模が限られており、早期終了となるケースもあるため、こまめに自治体の公式サイトなどを確認する必要があります。
自治体補助金で注意すべきポイント:
- 公募開始時期が不定期なことが多い
- 予算枠に達し次第終了することがある
- 補助対象が限定されている場合がある
例えば、「地元企業の新規販促支援」など地域密着型の内容が中心となるため、自社の計画と合致しているかを慎重に判断しましょう。
補助金を使った広告制作の成功事例とその特徴
実際に補助金を活用して広告制作を行い、販促に成功した企業の事例は数多く存在します。これらの事例を知ることで、どのような施策が効果的だったのか、どのような工夫が成果につながったのかを学ぶことができます。
ここでは、チラシ、Webサイト、新規事業の立ち上げに成功した3つのケースを紹介し、それぞれの特徴と費用対効果を解説します。
採択されたチラシ制作事例と販促成果
ある地域密着型の飲食店では、「小規模事業者持続化補助金」を活用して、新メニューの告知用チラシを制作・配布しました。このチラシは近隣エリアに1万部配布され、月間来客数が前月比で約150%に増加するという効果をもたらしました。
成功の要因には以下の点があります。
- 補助金で制作費を軽減し、配布範囲を広げられた
- ターゲット層に合わせたデザインとキャッチコピーを工夫
- 店頭クーポンと連動したキャンペーン設計
費用対効果が明確で、販促活動と経営成果が結びついた好例と言えます。
新規事業立ち上げ時の広告活用と費用対効果
あるベンチャー企業では、「自治体が実施する新事業支援の補助金」を用いて、新ブランドの立ち上げと同時にLP(ランディングページ)とSNS広告を制作・実施しました。広告展開と同時に予約受付を開始し、初月から黒字運営を実現しています。
施策の特徴としては、
- ブランディングから広告運用まで一貫して補助金で支援
- 新規ターゲット層に特化したデジタル戦略
- 数値的なKPI(目標値)設定が明確だったこと
新事業開始と広告展開を同時に行うことで、タイミングよく市場浸透できた好例です。
補助金を使って広告施策を成功させるためのチェックリスト
補助金を使って広告施策を行う際には、事前準備と計画の整合性が鍵を握ります。補助対象の範囲や目的をしっかりと理解し、社内外の関係者との連携をスムーズに行うことで、申請から実行までを効果的に進められます。
ここでは、失敗を避けるためのチェックポイントをまとめました。
補助金の目的と自社施策の整合性を確認する
補助金制度にはそれぞれ明確な「支援目的」が定められています。自社の広告施策がその目的と合致しているかを確認することは最重要ポイントです。
例えば、
- 販路開拓が目的の補助金であれば、新たなターゲット層へのアプローチがあるか
- 新事業支援型であれば、新製品やサービスが具体的に計画されているか
制度の趣旨に沿った計画でなければ、審査で不利になる可能性があります。施策の方向性と補助金の目的が一致しているか、事業計画書の段階で明確にしましょう。
補助対象経費の線引きを事前に明確にする
補助金で認められる経費には明確なルールがあります。広告費であっても、対象外となる項目を申請してしまうと差し戻しや不採択のリスクがあります。
主な注意点:
- 社内向け印刷物、名刺、看板などは対象外になることがある
- Webサイトでも更新費用や既存ページの軽微な修正は認められないことが多い
- 広告費の中でも「広告枠購入費」は対象外の補助金もある
事前に見積書を制作会社に依頼し、補助対象・対象外の分類を明確にすることが成功の鍵です。
制作会社や申請サポート業者との連携を意識する
補助金の申請や活用をスムーズに行うには、外部パートナーとの連携が不可欠です。特に制作会社や申請支援を行っている専門業者との連携が成果を左右します。
連携時に重視すべきポイント:
- 制作会社が補助金申請の経験を持っているか確認する
- スケジュール管理や資料準備を一緒に進められる体制か
- 補助対象経費として認められる内容に沿った提案を受けられるか
プロの力を借りることで、煩雑な手続きや計画づくりを効率よく進めることができ、成功率も向上します。
各自治体の制度も要確認

各都道府県、市区町村などの単位で、補助金・助成金の制度を設けている場合があります。適用される条件や補助率、金額の上限などはそれぞれ異なりますが、当てはまるものがあれば当然自己負担が軽くなりますので、まずは調べてみることをおすすめします。
助成金を活用したSEO対策・広告運用についてご相談ください
サイト制作後にWEBマーケティングを推進する上で、最も必要なことは正しい知識を持つことです。外部サービスを利用することも1つの手ですが、IT・DXの推進が加速するこれからの時代、現場で実務を担う人材の育成が不可欠でしょう。
NBCインターナショナルでは、SEO対策やWEB広告運用に関する研修プログラムを用意しています。現役のコンサルタントが講師を務め、eラーニングやZoom研修により、最新の知識と実践力がバランスよく習得できる構成です。
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まとめ
広告費を補助金・助成金でまかなうという選択は、中小企業や個人事業主にとって非常に有効な販促戦略です。
今回の記事では、小規模事業者持続化補助金や中小企業新事業進出補助金といった代表的な制度を通じて、チラシやパンフレット、Webサイト制作にかかる費用を削減する方法について詳しく解説しました。
中でも重要なのは、自社の目的と補助金の目的が一致しているかを確認し、補助対象経費の範囲をしっかりと把握することです。
また、申請手続きやスケジュールの管理も成功の大きな要素になります。実際に助成金を活用して成果を上げた企業の事例も紹介しましたので、自社の戦略に取り入れる参考になったのではないでしょうか。
補助金を使った広告施策を成功させたい方は、申請経験が豊富で広告制作にも強いパートナーを見つけることが大切です。
※弊社が補助金や助成金の受給を保証するものではありません
※最新情報は各機関のHP等でご確認ください
